監督メッセージ・登場人物


スコット・ハミルトン・ケネディ監督
からのメッセージ(抜粋)

スコット・ハミルトン・ケネディ氏 スコット・ハミルトン・ケネディ氏

Scott Hamilton Kennedyスコット・ハミルトン・ケネディ氏

アカデミー賞ノミネート歴のあるドキュメンタリー映画監督。ライター、プロデューサー、カメラマン、エディター。本映画の制作会社であるBlack Valley Films社の創始者である。

私がGMO(遺伝子組み換え作物)に関する論議を覆すかもしれない映画を制作していると言ったとき、リベラルな映画制作業界の友人や仕事仲間の多くに、“道を間違えている”と言われました。「君は本当にGMO支持派なのか?」と、繰り返し尋ねられました。そして、GMOに関する会話や激しい議論が交わされる度、私はGMO賛成でもオーガニック賛成でもなく、“科学を重んじている”と常に答えてきました。

ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストであるデイヴィッド・ブルックス氏に「ここはもはやみんなが同じ現実を経験できる国ではない」と言わしめた「オルタナティブ・ファクト(もうひとつの事実)」の時代である今、映画「FOOD EVOLUTION」はこの議論に何か重要なものを与えられるのではないかと感じています。本来ジャーナリズムと科学は、私たちが「事実」と「フィクション」、「真実」と「偏向」を見分ける際に最も頼れるはずの存在でした。しかし今は、ジャーナリズムと科学は「フェイクニュース」として私達を惑わす存在であると、人々から非難されています。そのような時代において、人々が映画「FOODEVOLUTION」からより良い情報を得て、最善の選択をする助けになるのではと期待しています。

この映画を制作にあたり、共同で脚本・プロデュースを行ったトレース・シーハン氏と共に、食物、科学、農業の専門家や活動家など、スカイプで100を超えるインタビューを実施し、米国から欧州、フィリピンからアフリカまで世界中の専門家の意見を聞きました。食品運動の象徴的存在であるマリオン・ネスル氏やマイケル・ポーラン氏、またパム・ロナルド教授(カリフォルニア大学デービス校)やウガンダのLeena Tripathi氏といった科学者の方々から知見を得ました。米国の農家だけでなく、ケニヤ、ウガンダ、南アフリカで農業を行っている人々など、最も根本的かつ草の根レベルにおいて、GMOに関する議論による影響を受けた人々の意見を詳しく調査できたことは、私にとって大きな喜びです。

ウガンダの果実産業に大打撃を与えたバナナの立ち枯れ病による壊滅的な被害や、GMOによって可能になる解決法に関する政治的紛争に目を向けたとき、ウガンダの農家や専門家の見解が、ロサンジェルスやニューヨークのリベラルで限られた集団の中でよく耳にする意見とは大いに異なっていることは明らかでした。彼らは、現在の二元的議論には他の意見が入り込む余地がほとんどないという貴重な知見を与えてくれました。

最後に、私はこの映画がGMOに関する議論を白紙に戻す以上の役割を果たすことを望んでいます。完璧な結論はありませんが、私にとっては安全面、栄養面、また持続可能性を考慮した上で、我々はどのように自分自身と地球上のすべての人々に食を提供していけばいいのか―この作品は、その決断の重要性と難しさを描いたものです。


登場人物
(映画内でのインタビュー対象者)

  • ラウル・アダムチャック氏
    ラウル・アダムチャック氏

    ラウル・アダムチャック氏はカリフォルニア大学デービス校で有機農業を教えており、カリフォルニア有機農業認証団体の元会長。

  • デニス・ゴンザルベス博士
    デニス・ゴンザルベス博士

    デニス・ゴンザルベス博士はハワイ生まれの分子生物学者。1990年代にハワイのパパイヤ産業に打撃を与えたリングスポットウィルスの問題解決のため、遺伝子組み換えの「レインボーパパイヤ」を開発。

  • マーク・ライナス氏
    マーク・ライナス氏

    マーク・ライナス氏は環境保護活動家、ジャーナリスト、また「High Tide」「+6°C」「The GodSpecies」などの環境に関する本の著者。最新の著書は2013年7月にKindle Single ebookから出版された「Nuclear2.0:Why a Green Future Needs Nuclear Power」です。ライナス氏は当初、欧州で遺伝子組み換え作物反対のキャンペーンを主導していましたが、2013年のオックスフォード農業会議における講演でこれらの行為を謝罪し、時と共に自分の考えがどのように変化してきたのかを説明しました。

  • EMMA NALUYIMA MUGERWA博士
    EMMA NALUYIMA MUGERWA博士

    Emma Naluyima Mugerwa博士はウガンダ(エンテベ)の小農場主であり、臨床医学と動物の群れの健康管理を専門とする獣医師。以前は国立動物遺伝資源センターおよびデータバンク(the National Animal Genetic Resources Centre and Data Bank)に勤務しており、エンテベで畜産環境局(Livestock Environmental Station)の役員を務めていました。Naluyima博士はウガンダ共和国のヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領の私設酪農場で、人工授精による群れの遺伝的性質の改善に取り組んでいます。またムバララ赤十字の会長も務め、2014年にはワールド・フード・プライズを受賞しました。

  • マリオン・ネスル博士
    マリオン・ネスル博士

    マリオン・ネスル氏はニューヨーク大学の栄養・食品・公衆衛生学科の「ポーレット・ゴダード」を冠する教授で(1988~2003年に学部長)、社会学の教授。「フード・ポリティクス:肥満社会と食品産業」(2002)、「食の安全:政治が操るアメリカの食卓」(2003)の著者であり、サンフランシスコ・クロニクル紙に毎月、食に関するコラムを連載し、The Atlanticでブログを開設しています(www.foodpolitics.com)。

  • パメラ・ロナルド教授
    パメラ・ロナルド教授

    パメラ・ロナルド教授は、長期間の浸水にも耐えられる、遺伝子組み換えのイネの種子開発に長年従事しています。

  • ジェフリー・スミス氏
    ジェフリー・スミス氏

    ジェフリー・スミス氏は、反GMO運動において最も発言力があり、多くの情報を発信し名声を得ている活動家のひとりです。2冊の本を自費出版しており、「遺伝子組み換えルーレット」は2012年に映画化されました。

  • チャールズ・ベンブルック氏
    チャールズ・ベンブルック氏

    チャールズ・ベンブルック氏は、農業経済学者です。オーガニック支持者であり、農薬やGMO関連の裁判の鑑定人としても知られています。政府報告書を再分析し、GMOや農薬の使用は高い危険性を伴うと述べています。

  • LEENA TRIPATHI博士
    LEENA TRIPATHI博士

    Leena Tripathi博士は国際熱帯農業研究所の植物遺伝学者です。主にバナナ、オオバコ、キャッサバ、ヤムに病害虫に対する抵抗力をつけるための遺伝子改良に取り組んでおり、バナナ・キサントモナス萎縮病を抑制する研究プログラムおよび線虫抵抗性のあるオオバコに関するプロジェクトを主導しています。また、抗キャッサバ・ブラウンストリーク病のプロジェクトの調査主任(principal investigator for the project on Cassava Brown Streak Disease resistance)でもあり、バナナ、オオバコ、キャッサバの遺伝形質転換プラットフォーム(Genetic Transformation Platform)を確立しました。

  • ALISON L. VAN EENENNAAM博士
    ALISON L. VAN EENENNAAM博士

    Alison L. Van Eenennaam博士はカリフォルニア大学デービス校の動物科学学部における、動物ゲノム・バイオテクノロジーの共同拡張(Animal Genomics and Biotechnology Cooperation Extension)の専門家です。以前はカルジーン社に勤務していました。メルボルン大学(オーストラリア、ビクトリア州)で農業科学学士号、カリフォルニア大学デービス校で農業科学修士号と遺伝学博士号を取得しています。

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