上映会レポート


過去の上映会報告

「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」が
主催、協力した上映会の様子を紹介します。

【山形県立置賜農業高等学校で「WELL FED」上映会】
2023年12月18日主催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会
協力:山形県立置賜農業高等学校

会場:山形県立置賜農業高等学校 教室
(山形県川西町上小松)

上映会レポート

バングラデシュの農家が害虫に強い遺伝子組み換え(GM)ナスを栽培し、殺虫剤の使用削減や高収入を得ている実像などを追ったオランダのドキュメンタリー映画「WELL  FED」の上映会が12月18日、山形県川西町の山形県立置賜(おきたま)農業高等学校で行われました(写真参照)。同校園芸福祉科の1年~3年の32人(大半が女子生徒)と教員3人が参加しました。
同高校は現在、遠藤忠樹同校教諭の指導のもと、千葉大学などと連携しながら、遺伝子組み換え技術を用いて、地域振興にも役立つ青色のダリアを作出する研究を進めており、2023年度の第7回高校生科学教育大賞で最優秀賞を受賞しました。ダリアは山形県の特産品ですが、青色の花のダリアはまだ自然界に存在していません。同高校の試みは日本初の青色ダリアを商品化させようとする画期的な挑戦です。この研究とともに、遺伝子組み換え作物が世界の食料生産や農業経営にどのように貢献しているかをさらに学ぶ機会として、上映会を行うことになりました。

■悪いイメージはわずか2人
上映の前に小島正美・実行委員会代表が約20分間、遺伝子組み換え作物の特徴とこれまでの栽培の歴史を解説しました。まず初めに生徒たちに「遺伝子組み換え作物に対して危険なイメージや悪い印象をもっている人は挙手してください」と聞きました。すると、予想に反し、2人の女子生徒が手を挙げただけでした。
これまでの上映会は消費者向けだったせいか、同様の質問に対し、半分以上が「不安」や「危険なイメージ」と答えるケースが普通でした。さすが高校生科学教育大賞で最優秀賞を受賞した高校なのか、遺伝子組み換え作物に悪い印象をもっている生徒が少ないことに驚き、感心しました。
最初の解説では、遺伝子組み換え作物が農薬の使用量の削減や不耕起栽培による土壌への炭素固定などによって、CO2の排出量の削減に貢献し、地球温暖化防止にも役立っていることを強調しました。また、途上国の小規模な農家でも収量の増加や農薬の削減を通じて、収入の増加という大きなメリットを得ていることを力説しました。

■理解がより深まった
上映後、生徒に感想を聞きました。「組み換え作物に対して反対から賛成に転向した英国のマーク・ライナスさんのような人がいることを初めて知りました」「組み換え作物に反対している人たちがいることをこの映画を見て初めて知りました」「グリーンピースの人たちは自分たちの都合のよいように考えて行動していることが分かりました」「なんとなく組み換え作物のことを知っていたつもりでしたが、映画を見て、より一層詳しく知ることができました」「途上国で組み換え作物を栽培している人たちがいることを初めて知りました。ポジティブな面もあることがよく分かりました」。
生徒たちの熱心な反応を見て、上映会は中学や高校の教材にもなると思いました。青いダリアの作出が成功するよう心から応援したい。

【静岡市で「WELL FED」上映会】2023年10月28日主催:静岡県島田市高島町の北井裕文さん
協力: 遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:静岡市のグランシップ静岡・映像ホール
(静岡市駿河区東静岡2)

上映会レポート

害虫に強い遺伝子組み換えナス(Btナス)を栽培するバングラデシュの農家の実像などを追ったオランダのドキュメンタリー映画「WELL FED」の上映会が10月28日、静岡県静岡市のグランシップ静岡・映像ホールで行われました(写真参照)。主催したのは静岡県島田市に住む北井裕文さんです。参加者は12人でした。遺伝子組み換え(GM)作物がどのような作物かを少しでも知ってもらおうと北井さんが仲間に呼びかけて実現しました。

■GM作物は途上国で貢献
まずは小島正美・実行委員会代表が約15分間、遺伝子組み換え作物の特徴とこれまでの栽培の歴史を解説しました。「GM作物は途上国の零細な農家には役に立たない」という誤ったイメージがネットを中心に流布していますが、実際にはフィリピンやブラジル、アルゼンチン、インドなど発展途上国で広く栽培され、小さな農家に多くのメリットを与えています。農薬の使用量の削減、収量の増加、家族農業の持続的発展、不耕起栽培による土壌への炭素固定など数多くのメリットがありますが、ほとんど知られていません。
オランダの青年2人が製作した映画「WELL FED」(約50分間・日本語字幕)は、途上国のバングラデシュで害虫に強いGMナスがどのように零細な農家の生活向上に貢献しているかを分かりやすく描いた名作です。特に組み換えナスを栽培している農家が、殺虫剤の使用が激減して喜んでいる様子のレポートは圧巻です。
タイトルの「WELL FED」は先進国での「満たされた食事」を意味しますが、このタイトルには「満たされた先進国の論理で途上国の農業を判断してはいけない」という警句が込められています。その名の通り、同映画ではオランダの活動家たちが、GM作物が途上国の農業に貢献しているのに、「そんな技術は不要だ」とまるで傍観者的の態度を見せるシーンが印象的です。

■映画を見たあとに悪いイメージは好転
上映会は、映画にふさわしい映像ホールで行われ、とても見応えがありました。映画が始まる前に「GM作物に悪いイメージを持っている人は挙手してください」と尋ねると、女性の4人全員が手を挙げました。男性も半分が手を挙げました。
上映のあと、小島氏はさらに約30分間、GM作物が17の目標からなるSDGs(持続可能な開発目標)に大きく貢献していることも分かりやすく話しました。
このあと、映画の感想を聞くと「途上国の農家にとって、GM技術は画期的ですね。トウモロコシの遺伝子を入れた栄養豊富なゴールデンライスもすごいと感じました」「日本で反対する人たちはなぜ反対しているのか、その根拠が知りたくなった」などの感想がありました。「悪いイメージは変わりましたか」と尋ねると、上映前に手を挙げた全員が「良いイメージに変わった」と答えました。好評だったため、同じ静岡県内の別の場所でさらに上映会を検討していくそうです。

【龍谷大学で「フード・エボリューション」上映会】
2023年5月13日実施:龍谷大学農学部学生のハワイ農業体験学習の事前学習会
協力:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:龍谷大学瀬田キャンパス9号館
(滋賀県大津市瀬田大江町横谷1-5)

上映会レポート

米国やアフリカなどでの遺伝子組み換え作物の栽培をめぐる攻防を描いたドキュメンタリー映画「フード・エボリューション」の上映会が5月13日、滋賀県大津市にある龍谷大学農学部の瀬田キャンパス9号館会議室で行われました。同大農学部では今年夏、農学部の学生7人がハワイで農業体験実習を行います。その事前学習の一環として、同農学部生命科学科の古本強教授のご協力を得て、上映会が実施されました。

■ハワイの農業体験実習に参加する学生が鑑賞
なぜ、上映会が事前学習に役立つかと言うと、同映画の冒頭は、ハワイの遺伝子組み換えパパイヤの存続の可否をめぐる攻防から始まるからです。
ウイルス病で壊滅寸前に追い込まれたハワイのパパイヤ産業をどう立て直すかが1990年代から大きな問題になっていました。遺伝子組み換え技術によってウイルス病に強くなった組み換えパパイヤの栽培でなんとか壊滅から立ち直ってきた2013年に、ハワイの議会で組み換えパパイヤの栽培を禁止する反対運動が起きました。賛成派と反対派が激突する様子を描いたのがこの映画です。最終的には組み換えパパイヤの重要性が認められ、栽培は禁止されず、ハワイのパパイヤ産業はいまも持続可能な農業として生き残っています。
ハワイのパパイヤ農業にそうした過去があったことと組み換え技術の科学的な側面を知っておくことは、ハワイ現地での農業実習で遺伝子組み換えパパイヤを開発した人や栽培する人、流通に関係する人と直接会う前の基礎知識として有用だとの考えから、農業実習に参加する予定の5人の学生が上映会にのぞみました(写真参照)。
上映会ではまず、小島正美・同映画実行委員会代表が約15分間、遺伝子組み換え(GM)作物の歴史やその栽培メリット、日本での流通状況、SDGs(持続可能な開発目標)との関係について解説しました。そのあと、映画(日本語字幕付き)が上映されました。
上映のあと、学生に印象を聞いたところ、賛成派と反対派が真正面からぶつかるシーンが強く心に残り、双方が共存することはなかなか難しいという印象をもったようでした。直接、感想を聞くと以下のような返答がありました。
「だれに聞くかによって、正反対の情報が伝わることが分かり、情報の伝え方の怖さを感じた。しっかりとした知識をもった人が正しい情報を伝えていく重要性を感じた」「映画を見る前が、GM作物は危ないと思っていたが、映画を見て、そうではないと感じた」「立場は違っても、対話する場こそが重要だと思った」「GM作物の科学的なメリットを反対派に知ってもらうことは容易ではないと感じた」
私見(小島)ですが、映画はハワイの農業実習に役立ったように感じました。ハワイの組み換えパパイヤは残念ながら、現在、日本のスーパーでは販売されていません。食品としての安全性は確認され、輸入してもよい状態になっているのですが、取り扱う販売事業者が現れていません。そのあたりの貿易事情を探ることも農業実習に役立つのではと学生たちに伝えました。
学生のほか、教員3人も映画を見ました。その1人で上映会の実現に協力していただいた古本教授は「遺伝子組み換え作物に関しては、科学的なデータに基づく正しい情報を学生たちに伝えたいと考えている。ハワイの農業実習では、現地で関係者と触れ、実物を食べるなど、直接的な体験ができるので、この背景理解が大いに役立つでしょう」と語りました。学生たちのハワイ農業体験レポートが楽しみです。

【第5回「WELL FED」上映会】2022年12月9日主催:「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」
協力:「大阪いずみ市民生活協同組合」(大阪府堺市堺区南花田口町2)

会場:大阪いずみ市民生協の堺東本部2階ホール
(大阪府堺市堺区南花田口町2)
開催方法:会場参加とZOOM配信のハイブリッド形式

上映会レポート

遺伝子組み換え作物の実像を追うドキュメンタリー映画「WELL FED」の第5回上映会が12月9日午前10時~12時、大阪府堺市にある大阪いずみ市民生協・堺東本部2階ホールで行われました。会場参加に7人、ZOOMで12人が参加しました。参加者のほとんどは女性の組合員でした。
映画「WELL FED」の上映のあと、小島正美・映画実行委員会代表が約30分間、上映会の目的と遺伝子組み換え作物の内外の現況を解説しました。今回は遺伝子組み換え(GM)作物がSDGs(持続可能な発展目標)とどう結びつくかについて多くを話しました。
これまでGM作物といえば、大規模な生産者にはメリットはあるが、消費者へのメリットはないかのようなイメージがありました。しかし、実際にはそうではなく、GM作物こそが農薬の削減や収量・収入の増加を通じて、環境の保護に貢献し、小規模な農家の家計を助けることで貧困の撲滅にも貢献しているという新たな側面を強調しました。
たとえば、除草剤耐性のGM大豆の栽培は、不耕起栽培(土を耕やさず、そのまま播種できる栽培法)を可能にするため、土壌に閉じ込められているCO2をそのまま維持する効果があり、地球温暖化の防止に役立っています。土壌の流失も防いでいます。また、農薬の削減は益虫を増やすことで生物の多様性を増加させる役割も果たしています。
これら「土壌流失の防止」「生物多様性の増加」「CO2の土中での固定」などは明らかにSDGsにかなうものであり、GM作物が多くの点でSDGsに役立つことを意味します。こうしたSDGsの観点から見て、GM作物が有機農業と肩を並べるくらいにすぐれた技術のひとつだという側面を力説しました。
そのあと議論に入り、映画に対する印象を聞くと「途上国でGMナスが役立っている様子を初めて知った」「映画を製作したオランダの監督がバングラデシュの現地を見て初めて、GM作物の優れた面を理解したように、反対派の人がもっと見てほしい」「映画の中でバングラデシュの女性が野菜を食べると太ると言っていたが、教育が重要だと思った」など、GM作物の途上国での有用性を再認識したという感想を多く聞くことができました。

■長文の温かいメール
そして、上映後に女性の組合員から「怖いイメージが良いイメージに変わりました」というメールをいただきました。
そのメールの一部を以下に紹介します。
「私の娘は今回の話を知っていて、農学部志望となりました。正しく学び、もっと学んで、生物皆が良い状態になることを目指しているようです。私は無知で活動家から昔、聞いた話を信じていました。今回は良い学びをいただきましたが、国内産の安全な組み換え作物を購入できる日はいつくるのでしょう。試験栽培の国内成功を祈っています。このままだと娘も研究を海外ですることになるのかなと思えます。
・・農薬使用量を減らすことやビタミン強化米などの力で、病気や貧困問題を改善していけることを数値化して、子ども達に伝えてくれる人々が増えれば良いなと考えました」

【第4回「WELL FED」上映会】2022年10月31日主催:「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」
協力:「エフコープ生活協同組合」(福岡県篠栗町中央1)

会場:福岡県篠栗町のエフコープ生協研修センターと久留米ビジネスプラザ(2会場参加とZOOM配信のハイブリッド形式)

上映会レポート
「主会場となった篠栗町のエフコープ生協研修センターでの上映の様子」

遺伝子組み換え作物の実像を追うドキュメンタリー映画「WELL FED」の第4回上映会が10月31日午前10時~12時、福岡県篠栗町にあるエフコープ生協本部研修センターで行われました。会場参加とZOOM配信のハイブリッドで行われました。2会場9人、ZOOM18人の計27人が参加しました。参加者の大半は女性の組合員でした。
まず最初に50分間上映し、次いで小島正美・映画実行委員会代表が約20分間、上映会の目的と遺伝子組み換え作物の内外の現況を解説、そのあと議論に入りました。議論では野崎良志美・エフコープ生協理事がファシリテーター役を務めました。
上映後の質疑では「そもそも、GMOとBtナスはどう異なるのか」「やはり遺伝子組み換え作物に対する不安はあり、本当のところ、安全性がどうなのかという点がやはり気になります」「映画の中でバングラデシュの女性が『野菜を食べると太る』と言っていましたが、教育の重要性を感じました」「除草剤をまいても枯れない除草剤耐性の組み換え大豆などが世界で栽培されているようですが、この耐性もやがて限界が来て、いずれ除草剤が効かなくなるときが来るのではないでしょうか」。
GMOやBtナスについては、井ノ上誠・同生協組合員活動部品質保証推進スタッフが分かりやすく解説しました。除草剤への耐性の出現については、小島代表が「組み換え作物といっても、所詮は植物なので、ものすごい力があるわけではない。どの技術もいずれは限界がきます。しかし、Aという農薬に耐性ができてダメになったら、それに代わる新たな組み換え作物をつくればよいので、新しいテクノロジーで切り抜けていくのではないか」などと説明しました。
終了後、2人の女性が「きょうは、いろいろな新しいことを知ることができて、本当に参加した甲斐がありました」「映画を見て、胸がすとんと落ちた感じがします」と好意的な感想を話してくださり、有意義な上映会となりました。

■アンケート
多くの参加者がアンケートに正直な感想を寄せてくれました。その一部を紹介します。「遺伝子組み換えは悪いというイメージでしたが、バングラデシュに住む貧しい農家がBtナス(遺伝子組み換え作物)を栽培することで殺虫剤の使用が減り、収量や収入が増えたというメリットを初めて知った」「組み換えは悪いと思っていたが、食料不足や栄養の改善など未来の人類を救うのに必要な技術だと分かった。ただ身体への長期の影響が解明されていないので、まだ賛成はできない」「映画は組み換え作物の問題点を指摘する学習会だと思って参加したが、自分と違う意見を聞くのも大切なので、こんな考えもあるんだということを知る良い機会になった。ただ自然界では起こりえない変化を遺伝子の操作で行うことにやはり慎重であるべきだ」「先入観にとらわれず、多面的に物事を考えることの重要性を感じた」「映像の展開が速く、日本語の字幕を読むのに苦労した」。
多様な意見、感想が聞けたのも今回の特色でした。

【第3回「WELL FED」上映会】2022年9月16日主催:「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」
協力:アメリカ大使館

会場:京都市下京区東塩小路町9、
「キャンパスプラザ京都」

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遺伝子組み換え作物の実像を追うドキュメンタリー映画「WELL FED」の第3回上映会が9月16日午後2時~4時半、京都市下京区東塩小路町の「キャンパスプラザ京都」で行われました。京都大学、立命館大学、京都外国語大学、大阪学院大学、梅花女子大学の研究者や学生、生協関係者など54人が参加しました。東京会場と違い、学生が多いのが特徴でした。
上映会には、東京会場と同様に、オランダからやってきた映画監督のカーステン・ドゥ・フルーフトさんと科学ジャーナリストのヘデ・ブルスマーさんの2人が参加しました。東京会場と同じく、NHKグローバルメディアサービス・バイリンガルセンターから派遣された2人の同時通訳を活用し、オランダ人が話す英語が分からない人でも理解できる上映会となりました。

■上映会
小島正美・同実行委員会代表のあいさつのあと、「WELL FED」を上映。このあと、京都大学大学院農学研究科の木下政人准教授が「水産業における日本・世界の問題とその解決にどのように貢献できるか」と題して、約20分間講演しました。木下氏は自らが開発した肉厚のゲノム編集タイの普及が養殖魚の生産性の向上を通じて、将来のたんぱく源の確保、天然資源の保護、地域の雇用創出などに貢献できることを情熱的に語りました。
このあと、生活協同組合コープこうべ商品政策推進室・供給企画の古山みゆきさんを交えて、ディスカッションが行われました。「なぜ、この映画を作ったのか」「映画作りで一番伝えたかったことは何か」「遺伝子組み換え作物はいま西欧でどのように受け止められているのか」「オランダ政府は遺伝子組み換え作物の研究をしているか」などの質問に対して、ヘデさんは以下のように答えました。 「いろいろな媒体で記事を書いてきたが、活字だけではなかなか真実が伝わらない。友人のカーステンは組み換え技術に否定的な印象をもっていたので、カーステンを説得する形で視覚的に理解できる映画を製作した。満たされた先進国の人たちの意見が途上国の政策に影響していることをもっと知ってほしかった。バングラデシュで組み換えの害虫抵抗性ナスが栽培されているが、もともとはインドで栽培されることになっていた。インドでは反対運動が強く、政府が導入をやめしまった」。
また、西欧での受け止め方について、ヘデさんは「映画を見た人は理解してくれるが、西欧ではまだまだ遺伝子組み換え作物に対するイメージはネガティブだ。GM作物に否定的なグリーンピースのような環境保護団体が研究機関のように見られており、環境重視の銀行幹部からも信頼の目で見られている」と語りました。 一方、カーステンさんはバングラデシュで組み換えナスを栽培する農家が収入を増やしている実績を目の当たりにして、次のように語りました。「ナイフだって、使い方によっては殺人の凶器になる。医師が使えば、手術で人の命を救える。技術をどう使うかが重要で、技術自体に反対するのはおかしい。GM作物がなくても、食料の確保に困らない先進国の満ち足りた人たちの論理を途上国に押し付けてはいけない」。

■パネルディスカッション
パネリストの古山さんは映画を見た後、次のように感想を語りました。
「私たちのような食料不足に直面していない国の人が、必要とする国のことを十分に理解しないままに、新たな食品技術の発展を否定するようなことをしてはいけないということを痛切に感じました。バングラデシュのように遺伝子組換え技術によって、実際に栽培農家さんの暮らしが大きく変化したことには驚きでした。先進国の選べる者たちが選択の余地のない人々の邪魔をしてはいけないと思いました。遺伝子組換え技術のメリットを理解するにはとても分かりやすい映画です」。
これまで遺伝子組換え食品といえば、ネット検索などを見ても分かるとおり、ネガティブな情報がいまも多い。古山さんは「ネットでは、安全性に関する情報についても、科学的知見に関するものはあっても、実際の栽培に関わる情報はほとんど見ることができません。前回の映画「FOOD EVOLUTION」ではハワイのレインボーパパイヤの事例がわかりやすかったですが、今回の映画のような事例を多く知ることで、遺伝子組み換え技術に対する考え方も変わるのではないかと感じました」と話しています。

■質疑
終了後の質疑では「オランダ政府はGM作物の研究をしているのか」「西欧では米国の巨大企業への反発は強いといわれるが、本当にそうなのか」「組み換え作物の安全性はしっかりと確認されているのか」「西欧の若い人たちの関心はどれくらいか」などの質問が出ました。2人は「西欧ではいまも牧歌的な農業を理想と見る傾向が強い。オランダでもGM作物が家畜飼料に使われているが、それを知る人は少ない。違った意見を理解し、お互いにもっと対話することが重要だ」などと話しました。

【第2回「WELL FED」上映会】2022年9月14日主催:「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」
協力:アメリカ大使館

会場:スペース汐留(東京都港区東新橋)

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遺伝子組み換え作物の実像を追うドキュメンタリー映画「WELL FED」の第2回上映会が9月14日午後2時~4時半、東京都港区東新橋1の「スペース汐留」で行われました。研究者、ジャーナリスト、生協関係者、バイテク企業関係者など80人が参加しました。今回は映画を製作した監督のカーステン・ドゥ・フルーフトさんと科学ジャーナリストのヘデ・ブルスマーさんの2人をオランダから招きました。2人は映画に登場する主役です。上映会の討論では2人は英語を話しましたが、NHKグローバルメディアサービス・バイリンガルセンターから派遣された2人の同時通訳を活用し、英語が分からない人でも理解できる上映会となりました。

■上映会
小島正美・同実行委員会代表のあいさつのあと、「WELL FED」を上映。このあと、農研機構の高原学・企画戦略本部新技術対策課長が約20分間、講演しました。「遺伝子組み換えやゲノム編集技術は農作物の収量増加や農薬の使用削減などを通じて、生産者の所得を増やし、世界的な食料需要の増加などに貢献できる技術です」などとスライドを使って話をしました。
このあと、鳥取市で水稲やトウモロコシなどを大規模に栽培する生産者の徳本修一さんとオランダから来た2人を交えてディスカッションが行われました。「なぜ、この映画を作ったのか」の問いに対して、ヘデさんは「いろいろな媒体で記事を書いて、遺伝子組み換え作物のメリットを訴えてきたが、いくら事実を伝えても活字ではなかなか理解してもらえない。視覚的に理解できる映像のほうが効果があると考え、映画作りを思いついた。友人のカーステンは組み換え技術に否定的な印象をもっていたので、カーステンを説得する形のストーリー展開で映画を製作した」と話しました。
ただ、カーステンさんは、いくらヘデさんから「GM(組み換え)技術が素晴らしい」といわれても、最初は半信半疑だったそうです。その様子は映画にもよく表れています。しかし、GM作物の反対派から肯定派に転じた英国の市民活動家、マーク・ライナス氏と会って話を聞いたり、バングラデシュで組み換えナスを栽培して、収入を増やした農家と話すうちに真実に目覚めていく。
そして最終的にカーステンさんは次のように確信したという。「技術自体に善悪はなく、どう使うかが重要だ。グリーンピースが言っていた『GM技術は農家を圧迫する』という事実はなく、むしろ貧しい農家を救っていた。豊かな先進国の論理を途上国に押し付けてはいけない」。
オランダのメディア事情や映画の反響を聞くと、ヘデさんは「映画を見た人は理解してくれるが、一般的な世論はやはり遺伝子組み換え作物に対する抵抗感はいまも強い。メディアが特に偏っているということはないが、GM作物に否定的なグリーンピースのような環境保護団体が、西欧では研究機関のようなイメージで見られていて、意外に信頼されている。そういう状況を変えるのはなかなか難しい。オランダ政府もGM作物の研究をしているが、EU(欧州連合)がGM作物に否定的なので、その影響を受けて、GM作物の推進を打ち出すことはできていない」と話しました。
一方、徳本さんは映画を見て「日本でも害虫に強いGMトウモロコシを栽培するメリットはあると感じた。飼料用なら特に抵抗感も少ないではないか」と日本でのGM作物の栽培に大きな関心をもった様子でした。

■質疑
終了後の質疑では会場から「これまでは不安を煽る映画ばかりだったが、今回の映画は事実に基づき、とてもよかった。オランダのマスコミは中立に報道しているか」「組み換え技術を理解してもらうにはもっと学校教育に力を入れるべきではないか」「映画の中でバングラデシュの農家はBtナスの種子を国から無料でもらい、自家採取して販売していると言っていた。しかし、有機農業を営んでいる私としては、組み換え種子が分別管理されずに流通しているのは花粉の交雑を発生させ、問題ではないか」などの意見、感想が出ました。
 ヘデさんら2人は「種子の管理のことはよくわからないが、有機農家の意見には賛成だ。Btナスを栽培する農家の数は、私たちが訪れた2016年に比べ、現在は約10倍の約7万人に増えている。オランダのメディアは中立的に報じていると思う」などと語りました。
 上映会のアンケート結果(表参照)では、約9割の参加者が「非常によかった」または「よかった」と答え、好評でした。

【第1回「WELL FED」上映会】2022年6月23日主催:北海道大学、NPO法人「北海道バイオ産業振興協会」、
「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」

会場:北海道大学農学部講堂(札幌市北区)

上映会レポート
6月23日に行われた「WELL FED」の上映会
(北海道大学農学部講堂)

遺伝子組み換え作物の実像を追うドキュメンタリー映画「WELL FED」の第1回上映会が6月23日、「オランダ映画『WELL FED』から北海道の農業を考える!」と題して、北海道大学農学部講堂で行われました。学生、バイオ企業や肥料販売会社の社員、研究者、農業生産者、海外の留学生、住職など多様な人たち65人が参加しました。

約50分間の上映のあと、冨田房男・北海道大学名誉教授の司会進行のもと、曽根輝雄北海道大教授(応用分子微生物学)、宮井能雅さん(北海道長沼町の大規模農業生産者)、平川聡子さん(デザイナー、パソコン講師)、北海道大学の大学院生(平野紘朗さんと松本菜緒さん)の5人を交え、パネルディスカッションを行いました。

映画の感想としては「専門家でもない人がバングラデシュまで行き、遺伝子組み換え作物(害虫抵抗性ナス)の現場を見てレポートしたことはすごい」「遺伝子組み換え作物に対するイメージは、開発した米国の旧モンサント社くらいしか浮かんでこなかったが、途上国の実態がよく分かり、ビタミンAを含むゴールデンライスの開発は画期的だと思った」「アメリカではもはや安全性が認識され、議論しないほどになっている。日本はあまりにも遅すぎる」などが聞かれ、遺伝子組み換え作物が途上国で農家を助けている様子が強く印象に残ったようです。

北海道大学の大学院に通うインドネシアの留学生らは「遺伝子組み換え作物は単に作物を作る合理的な技術だけではなく、農家も含め社会全体をよくする技術だと分かった。すごい」といった感想を寄せていました。

遺伝子組み換え作物に詳しい冨田氏は司会者ながら「途上国ではよく子供たちが農薬をまいている。殺虫剤の使用が少なくて済むBtナス(害虫抵抗性の遺伝子組み換えナス)は子供たちの命を救っているといえる。なのに、なぜ、いまだに賛成が得られないのか」と感想を述べ、理解が進まない現状にもどかしさをにじませました。

北海道は遺伝子組み換え作物の栽培を試みる適地ですが、栽培するためには事前の審査・許可を必要とする北海道の条例が2006年に施行され、事実上、栽培が不可能な状況が続いています。法律上は日本国内のどこでも栽培することは可能ですが、生産者からは「いまの状況では組み換え作物を栽培しても得をすることがない」と悲観的な意見が出ていました。除草作業が格段に楽になる組み換えテンサイ(除草剤耐性)を北海道で栽培すれば、除草コストが下がり、収入が上がることは分かっているようですが、やはり周囲の理解不足が壁になっているようです。

■アンケート(65%の人は映画を見て、良いイメージに変化)

会場ではアンケート用紙を配り、映画の印象などを聞きました。外国人2人を含め34人(うち1人は回答不備)が答えてくれました。

映画を見る前の遺伝子組み換え作物へのイメージは「良い」が6人(18%)、「どちらかといえば良い」が7人(21%)、「知識がないので良いとも悪いとも言えない」が15人(44%)、「どちらかといえば怖い」が5人(15%)でした。

これに対し、映画を見たあとの印象を聞くと「良いとも悪いとも言えない」と答えた15人のうち、4人は変化なしでしたが、10人(67%)は「どちらかといえば良い」と答え、良い印象に変わりました。1人は「良い」になりました。

また、「どちらかといえば怖い」と答えた5人では、3人は変化なしでしたが、2人は映画を見たあとに「どちらかといえば良い」に変わりました。最初から良いイメージをもっていた人は、映画を見たあとも「良い」イメージでした。結局、「どちらとも言えない」か「怖い」と感じていた20人のうち、13人(65%)は映画を見て、良いイメージに変わったことが分かりました。

「北海道で組み換え作物を栽培することに賛成か」を聞いたところ、「賛成」が16人、「どちらとも言えない」が16人で、反対はゼロでした。

【千葉県市川市】2021年10月6日主催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会
協力:榎本裕介・昭和学院中学校・高等学校教諭

会場:昭和学院中学校・高等学校(千葉県市川市東菅野)

上映会レポート

第12回上映会は昭和学院中学校・高等学校の中学1年の全4クラス計127人が参加して行われました。中学校で上映会を行うのは初めてです。榎本裕介・教諭(理科・情報科・工学博士)の協力を得て、事前に遺伝子組み換え作物に関する質問をしました。すると「良い」が5%、「どちらかといえば良い」が26%、「怖い・悪い」は8%、「どちらかといえば怖い・悪い」は38%でした。特徴的だったのは「特に何のイメージも持っていない」(23%)という中学生が意外に多かったことでした。

良いイメージでは「栄養不足や環境問題を改善する」「おいしくて安全なものを作ることができる」などの声がありました。一方、悪いイメージでは「組み換えと聞くと、何か違うものを混ぜているというイメージがある」「食べるとがんになると聞いた」などの声がありました。

上映会は、小島正美・実行委員長の15分間の解説のあと、4クラスの教室でそれぞれ行われました。担任の教諭も含めて、みな熱心に見入りました。

上映後に感想を聞くと、「非常に良かった」が約26%、「良かった」が約54%、「どちらとも言えない」が約19%、「あまり良くなかった」は約2%でした。総じて有益な内容だったようです。具体的な感想としては「賛成派と反対派の論争が分かりやすくおもしろかった」「科学的な根拠がないのに、なぜ反対運動が生まれるのか」「科学よりも恐怖心が勝っている状況があると知って驚いた」「反対派が組み換え作物の畑をつぶすのはやめた方がよい」「アフリカのバナナなど食糧難をバイオテクノロジーで解決できると思った」「アレルギーや病気を治すことも可能になるのではと思った」「遺伝子を組み換える原理をもっと知りたい」「SNSの情報がすべてではないと分かった」など、ここに書き切れないほどたくさんの感想が寄せられました。

まだ科学的知識の少ない中学生にとっては、やや難しい内容なのではないかと思って臨みましたが、こちらの予想に反し、真剣な問いかけをする中学生たちの問題意識は一般の消費者と同じように高いものだと感心しました。若い世代に的確な情報を伝えることの大切さを痛感する上映会でした。

【名古屋】2021年8月31日主催:生活協同組合連合会 東海コープ事業連合
協力:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:東海コープ事業連合会議室(名古屋市名東区)

上映会レポート

第11回上映会は、名古屋市名東区の東海コープ事業連合の会議室で新型コロナ対策を講じて行われました。参加者は10人。最初に小島正美・映画実行会委員長が約30分間、最近のゲノム編集食品の動向も交えて、組み換え作物の歴史や現況を解説しました。そのあと、日本語吹き替え版が上映されました。

終了後に以下のような感想が聞かれました。「GMO(遺伝子組み換え作物のこと)に限らないが、反対派と賛成派が対立するだけでお互いに相手の主張を受け止めようともしないことがよくわかりました。ハワイの組み換えパパイヤをめぐる問題では、いったん悪いものだからと議会で禁止の決議が出たのに、ハワイの経済を考えて、GMパパイヤは特例としても認めるという展開に不思議な気持ちになりました。議会で言われていた『私は真実が知りたい。真実は感情を含まない』が印象的でした」

また、いろいろな考えをもつ人たちがお互いに共存することの難しさを痛感したという声もあり、さらに上映会は「真実は何か」を話し合う良い機会にもなるとの感想もありました。

【東京】2020年12月21日主催:FOODBOX株式会社
協力:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:FOODBOX事務所(東京都中央区)

第10回上映会は、12月21日夜、東京都中央区の「FOODBOX(フードボックス)事務所」で、主に農業生産者を対象に農業コンサルティングを行う「FOODBOX株式会社」(東京都中央区日本橋小伝馬町)の主催で行われました。「遺伝子組み換え作物について考えよう!」とのタイトルで呼びかけ、生産者を中心に約30人が参加しました。映画(日本語吹き替え版)はYouTube(限定公開)でライブ配信されました。

上映会では、最初に小島正美・映画実行委員会代表が「この映画は、ノーベル医学生理学賞を受賞した英国のリチャード・ロバーツ氏も推薦しています」とのメッセージを紹介し、約15分間、映画の特徴と見どころなどを解説しました。上映のあと、中村圭佑・FOODBOX株式会社社長と小島代表との対談があり、視聴者とのやりとりもありました。「なぜEU(欧州連合)ではゲノム編集が遺伝子組み換えとみなされたのか」などの質問が出るなどゲノム編集技術への関心が強いことも分かりました。

【東京】2020年12月5日主催:大阪いずみ市民生活協同組合
協力:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:品川動画スタジオ(東京都港区港南町)

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第9回上映会は、12月5日、東京都港区の「品川動画スタジオ」で「大阪いずみ市民生協」(本部・大阪府堺市)の主催で行われました。映画、そして、スタジオに集まった生協組合員ら4人のパネリストによるクロストーク(写真参照)がYouTube(限定公開)でライブ配信されました。約80人が参加し、とても活発な議論が展開されました。
上映会は、大阪いずみ市民生協の三原章次・政策担当のあいさつのあと、小島正美・映画実行委員会代表がスライドを使って約15分間、世界と日本の遺伝子組み換え作物の現況などを解説しました。そのあと日本語吹き替え版が上映されました。

上映後、小泉望・大阪府立大学大学院教授がゲノム編集技術について分かりやすく解説。次いで、山口夕・大阪府立大学大学院准教授の進行により、松本陽子・同生協副理事長、坂井勝恵・同生協理事、小泉教授、小島代表の4人をパネリストにクロストークが行われました。「安全な食品とはそもそも何か」「有機農業で食料問題は解決できるのか」「政府がもっと市民の疑問に答えるべきでは」などさまざまな意見が交わされました。
参加者へのアンケート調査も行いました。映画を見る前は「41%」の人が遺伝子組み換え作物に対して「怖い」とのイメージを持っていましたが、見た後は「15%」に減りました。組み換え作物への「良い」というイメージも、見る前の「46%」から、見たあとは「83%」に増えました。

映画の感想としては「遺伝子組み換え作物がアフリカやハワイの農家の暮らしを救う可能性があることを初めて知りました」「正体が分からないから、なんとなく避けてきたが、それは間違いだったと考えが変わりました」「長期にわたる安全性にはまだ確証が持てません」「豊かな国の非科学的な運動が途上国の発展に悪影響をもたらしているという印象が強く残りました」などさまざまでしたが、組み換え作物のメリットを理解できたという声が多くありました。

【東京】2020年11月20日主催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会
協力:一般財団法人・日本消費者協会

会場:港区消費者センター(東京都港区)

上映会レポート

第8回上映会は、11月20日、東京都港区の港区消費者センターで一般財団法人・日本消費者協会の協力を得て行われました。消費者問題を学び、地域で啓発活動を行っている港区消費者問題推進員約10人(40代~80代の主に女性)が見ました。小島正美・映画実行委員会代表がスライドで約15分間、遺伝子組み換え作物に関する世界の現況を解説したあと、日本語吹き替え版が上映されました。

上映後の意見交換では「アメリカでは遺伝子組み換え作物の是非を問うテレビ討論会があり、その模様が映画に出ていましたが、日本でもこのような討論会を開けたらすばらしい」「映画に登場する有機農業を支持する人たちの気持ちもよく理解できる。いろいろな意見があって、どちらが正しいかを判断するのが本当に難しいと感じました」などの感想がありました。映画を見るのが3回目という人は「見るたびに新しい発見がある」と多様な視点の中身に感心していました。

【東京】2020年7月29日主催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会
協力:一般財団法人・日本消費者協会

会場:ちよだプラットフォームスクエア(東京都千代田区)

第7回上映会は、7月29日、東京都千代田区の「ちよだプラットフォームスクエア」で一般財団法人・日本消費者協会の協力を得て行われました。主催者の小島正美・映画実行委員会代表がスライドで遺伝子組み換え作物に関する世界と日本の現況を約15分間解説したあと、日本語吹き替え版を上映しました。

今回は新型コロナ感染の影響を受け、会場での上映だけでなく、オンラインでの視聴も行いました。参加者は計17人で、主に企業のお客様対応部門で顧客と接している方々が熱心に見ました。「科学的に安全なのは分かったけれど、そのことがなかなか安心感につながらない難しさを感じます」という声が強くありました。この映画を以前に日本語字幕の英語版で見た人は「日本語の吹き替えのほうが科学者や市民の声に迫力が感じられ、メッセージがより強く伝わった」と日本語吹き替え版の良さを語っていました。

【東京】2020年2月19日主催:一般財団法人・消費科学センター
遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:消費科学センター 事務所(東京都渋谷区)

上映会レポート
活発な議論が展開された消費科学センターの上映会
(消費科学センター提供)

第6回上映会は、消費者団体「消費科学センター」の事務所で行われました。消費者24人が参加しました。主催者の小島正美・映画実行委員会代表がスライドで遺伝子組み換え作物に関する世界と日本の現況を約15分間解説したあと、日本語吹き替え版を上映しました。

上映前に組み換え作物へのイメージを聞くと約2割の人が「否定的」か「不安」でした。農薬の使用削減など「メリット」に関するイメージを聞くと、半分の人は「メリットは感じる」と挙手しました。そして、上映終了後に「否定的」なイメージが変わったかを聞くと、挙手はゼロでした。

その一方、(組み換えパパイヤがウイルス病で絶滅しかかったハワイのパパイヤ農業を救った事例など)「メリット」への意識変化を尋ねると、6~7割の人が手を挙げ、組み換え作物のメリットを感じる度合いは、映画を見たあとのほうが増えていました。

映画の感想としては、「GMは絶対ダメと思っていましたが、考えさせられました」「良い点は分かったけれど、科学的データだけでは不安は消えない」「賛成派と反対派の討論会をぜひ企画してほしい」などいろいろな意見がありました。

【札幌】2019年12月23日主催:北海道バイオ産業協会
共催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:北海道大学農学部大講堂

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「北海道で遺伝子組み換え作物の栽培は可能か」とのテーマを掲げ、「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」と「北海道バイオ産業協会」の共催で実施されました。一般市民やマスコミなど約50人が映画を見ました。曽根輝雄・北海道大学農学部教授を司会に、生活協同組合コープさっぽろ理事、NPO法人「北海道海浜美化をすすめる会」事務局長、北海道大学教授、農業生産者の4人がパネリストとして参加しました。

北海道では遺伝子組み換え作物の交雑防止などを規制する条例があり、実質的に組み換え作物の栽培ができない状態が続いています。条例の影響でバイオテクノロジー関連の民間企業が北海道から撤退した例も報告され、農業生産者からは「組み換え甜菜を試験的にでも栽培したいが、それができない。本当に残念」との声が出ました。一方、「農家が手塩にかけて作った組み換え作物なら受け入れられるのでは」との意見も出ました。行政がなかなか動かないことへのもどかしさ、落胆の声が強い印象を残しました。

【東京】2019年11月15日主催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:スペースFS汐留

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第4回上映会は、「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」の主催(バイテク情報普及会後援)で実施されました。

全国消費者団体連絡会事務局長の浦郷由季さんとサイエンスライターの堀川晃菜さんの2人をゲストに招き、小島正美同委員会代表が2人と対話する形式でのクロストークも行われました。

会場は映画も鑑賞できるゆったりした劇場。約100人の参加者は迫力たっぷりの映像シーンを楽しみました。2人ともこの映画を見るのは初めて。人物や場面の展開がやや速く、状況を追いかけるのに必死だったようです。しかし、科学的な事実を懸命に伝えようとする科学者とそれを阻止しようとする反対派の動きがよく分かり、とても勉強になりましたと語っていました。

学者や記者も多数参加し、大好評でした。

【松本】2019年4月12日主催:まなべ農園
協力:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:長野県松本市Mウイング

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第3回上映会は、「まなべ農園」(真鍋和孝さん経営・長野県小川村)の主催、「遺伝子組み換え作物を考える映画実行委員会」の協力で実施されました。

参加者は十数人でしたが、遠く長野市や上田市から、市民のほか農業生産者、地元新聞記者、長野市のポータルサイト発信者など多様な人が参加しました。

かつて組み換え大豆を栽培した経験をもつ北海道の農家、宮井能雅さんら2人からビデオレターも披露されました。

組み換え作物とセットで使用される除草剤の安全性に関する質問も出て、内容の濃い議論が活発に展開されました。

【大阪】2019年3月5日主催:ゲノム編集の未来を考える会
共催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:ハービスPLAZA

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第2回上映会は、小泉望・大阪府立大学教授を中心とする「ゲノム編集の未来を考える会」の主催、「国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)」の支援で実施されました。

「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」も運営をサポートしました。約70人収容の会場は満席でした。椎名隆・京都府立大学教授や農業生産者の河端訓史さんら5人のパネリストが議論に参加しました。

河端さんは「遺伝子組み換え作物の導入で農薬が減るなら、生産者にとっては有効な技術のひとつだ」と話しましたが、その一方で会場からは「巨大企業は信用できない」「西欧は遺伝子組み換え作物の導入に慎重だ」などの声も聞かれ、遺伝子組み換え作物をめぐる議論の難しさも垣間見られました。

【東京】2018年12月14日主催:遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会

会場:ベルサール八重洲

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第1回上映会は「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」の主催で実施されました。会場は約100人で埋まり、ほぼ満席。うちメディア関係者が約2割を占め、関心の高さをうかがわせました。

遺伝子組み換え植物を研究する広尾学園高校2年の石田萌音さん(医進・サイエンスコース)や農業生産者の小野寺靖さん(北海道)ら5人のパネリストが活発な意見を交換しました。

映画では反対派、推進派とも科学を盾に自己の正当性を主張する場面が登場しますが、「データに裏付けられた科学かどうかを見極めることが大事だ」との意見が目立ちました。


大学・団体等による自主上映会 開催リスト

「遺伝子組み換え作物に関する映画実行委員会」は大学や公的機関での上映をサポートしています。詳しくはこちら

開催日/会場 開催者 対象者 備考
2020/2/20筑波大学遺伝子実験センターセミナー室
筑波大学T-PIRC遺伝子実験センター
大学院生
アフリカ、フランス等の出身者を含む
2020/2/7長崎県庁
長崎県 県民生活部
生活衛生課
県内保健所に勤務する食品衛生監視員ら約40人
講師として映画実行委員会代表 小島正美が参加
2019年12月5日台場フロンティアビル
バイテク情報普及会
米沢興譲館高校生徒(1年生、20名)
同校東京探究研修にて上映。
2019/夏西南学院大学(福岡市)
西南学院大学
本間正義教授
(農業経済学)
大学生
本間正義教授の授業で上映。講師として映画実行委員会代表 小島正美が参加
2018/秋東京理科大学(新宿区)
東京理科大学
非常勤講師 小島正美
大学生
環境と科学の授業で上映。

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